Wind Pressure Resistance 耐風圧

サッシの耐風圧性は、台風などの強風から生命・財産を守る大切な性能です.基準となる風圧力が建築物の立地条件や部位ごとに異なることに注意して、ガラスを含めた開口部全体の安全性に配慮することが求められます.

1. サッシの耐風圧性とは

サッシの耐風圧性とは、サッシが面積1㎡当たりどれぐらいの風圧力に耐えられるかを表すもので、JIS A 4706-2000及びJIS A 4702-2000により等級と性能が規定されています(表-1).サッシにかかる最大風圧力(設計風圧力)が、各等級に対応した最大圧力以下となるように耐風圧性を設定します.

2. 設計風圧力の算定基準

サッシにかかる風圧力は、取り付けられる地上からの高さだけで決定されるものではなく、建物の高さ、立地条件及びその地域に大きく左右されます.設計風圧力の算定基準は、建築基準法の帳壁における風荷重の規定(平成12年建設省告示第1458号、同1454号)に示されています(算定基準-1).なお13m以下の建築物など告示適用除外部分(図-1)については、日本サッシ協会の算定基準を参考としてください(算定基準-2).

図-1

算定基準-1

算定基準-2

3. 選定の目安

サッシの耐風圧性の設定はJIS等級により表されます.サッシを使用する部位ごとに設計風圧力を算定し、これを上回る最大圧力に対応した等級を設定します.なお31m以下のビル中低層部では、S-3〈1600Pa〉からS-5〈2400Pa〉の間で設定されるのが一般的です.その他、開口部の耐風圧性については次のような注意点があります.

  1. サッシの耐風圧性は、窓を閉じた状態(ロック状態)での性能を示します.開放時には強い風を考慮した安全な取扱いが必要です.また二重サッシの場合、強風時には窓を内外とも閉じる必要があります.
  2. 各官庁及び各地方監督官庁の仕様としてサッシの性能を定めている場合がありますので確認が必要です.
  3. サッシに使用するガラスの面積は、その種類、構成及び板厚に応じて許容耐力が設計風圧力を上回るように規定されています(平成12年建設省告示第1458号).ガラスの支持方法によっては同告示の適用範囲外となりますので、ガラスメーカーなどへの確認が必要です.
  4. 飛来物によるガラスの破損の恐れのある場合には、強化ガラスの使用やルーバー・シャッターなどの設置を検討します.
  5. サッシの開口限度は、耐風圧性の設定により異なります.また、同一の耐風圧性等級であれば、一般に方立材など部材の見込み寸法により開口限度が異なります.
表-1:耐風圧性等級と性能 表-2:地表面粗度区分 表-3:地表面粗度区分に応じたZb・ZG・α 図-2:各地の基準風速地図と風圧力の早見表 表-4:ピーク風力係数(Cf) 図-3:負圧時の一般部と隅角部